腎臓内科

腎泌尿器

糸球体疾患(原発性糸球体腎炎)

症候診断名(腎生検前 組織診断名(腎生検後
急性腎炎症候群(AGN)
急速進行性腎炎症候群
慢性腎炎症候群
④無症候性蛋白尿・血尿
ネフローゼ症候群(NS)
・管内増殖性糸球体腎炎(主に溶連菌感染後糸球体腎炎※)
・半月体形成性糸球体腎炎
・メサンギウム増殖性糸球体腎炎(IgA腎症など)
・微小糸球体病変(MCNS)
・巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)
・膜性腎症(MN)
・膜性増殖性糸球体腎炎※(MPGN)
※補体が低下する腎疾患(糸でループして巻くぞう!

【症候診断名の病態】

①急性腎炎症候群 蛋白尿<血尿、高血圧、腎機能低下、Na・水分貯留といった状態が急激に発症する。症状は日単位で悪化・軽快する。
代表例:管内増殖性糸球体腎炎(主に溶連菌感染後糸球体腎炎
②急速進行性腎炎症候群 蛋白尿・血尿、貧血が急激に発症し、1年以内に腎不全に陥る。症状は週〜月単位で腎不全が進行する。
急速進行性腎炎症候群 ≒ 半月体形成性糸球体腎炎
③慢性腎炎症候群 蛋白尿<血尿、円柱尿などの尿所見異常を1年以上認め、徐々に腎不全が進行する。
代表例:IgA腎症(30〜40%で慢性腎炎症候群の中で最多)
④無症候性蛋白尿・血尿 蛋白尿もしくは血尿が持続的に認められるが、浮腫や高血圧などの臨床症状や腎機能低下が認められないもの。年単位で持続する。
代表例:MCNS
⑤ネフローゼ症候群 蛋白尿3.5g/day以上Alb3.0g/dL以下のもの。Alb低下を補うため肝臓で蛋白合成が促進され、フィブリノゲン↑による血栓傾向、LDL合成による高LDL血症が生じる。
代表例:一次性(MCNS、FSGS、MN、MPGN)、二次性(糖尿病性腎症、ループス腎炎、アミロイド腎症、紫斑病性腎炎
<ネフローゼ症候群を起こす疾患>
あまく微糖ミロイド腎症、性腎症、性増殖性糸球体腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、小変化群、尿病性腎症)
<ネフローゼ症候群の合併症>
①静脈血栓症、②感染症、③急性腎障害、④心血管疾患、⑤悪性腫瘍がある.

【ネフローゼ症候群の早見表】

血尿なし 血尿あり
急性発症・若年者 微小糸球体病変 巣状分節性糸球体硬化症
慢性発症・中高年 膜性腎症、糖尿病性腎症、アミロイド腎症 膜性増殖性糸球体腎炎

管内増殖性糸球体腎炎(代表例:溶連菌感染後糸球体腎炎 PSAGN)

疫学 小児に好発
病態 A群β溶連菌が先行感染し、Ⅲ型アレルギーの機序で形成された免疫複合体が糸球体の基底膜に沈着し、先行感染から約2週間後に急性糸球体腎炎を起こす。
多くは3〜6ヶ月で治癒するが、一部は慢性糸球体腎炎または急速進行性糸球体腎炎に移行する。
症状 先行感染症状(咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱、丹毒)の約2週間後に、
血尿(必発):1〜3ヶ月持続
②浮腫:蛋白尿が1ヶ月持続、ネフローゼを起こすことは少ない
③乏尿→高血圧浮腫(眼瞼浮腫)・体重増加:糸球体濾過障害からの体液貯留
検査 【血液検査】
補体C3 or CH50↓(免疫応答による補体消費)、ASO↑ASK↑(抗溶連菌毒素抗体)
※低補体血症は2ヵ月以内に正常化する
【尿沈渣】
赤血球円柱、白血球円柱
【腎生検】
光顕:糸球体の腫大富核、好中球や単球の浸潤、蛍光:糸球体係蹄壁にC3やIgG沈着、電顕:基底膜の上皮下に巨大な半円状の免疫複合体が沈着(hump
治療 安静、保温、体液・血圧管理、
高血圧・浮腫:塩分・水分・蛋白質制限(主に乏尿期)、Ca拮抗薬、ループ利尿薬
原則、抗菌薬・ステロイドは不要!

★IgA腎症 IgA nephropathy

疫学 10〜20歳代、40歳代の二峰性、慢性腎炎症候群の中で最多
病態 メサンギウム細胞が増殖し、メサンギウム領域にIgA優位の免疫複合体が沈着して腎炎症状を起こす糸球体疾患。高血圧・尿蛋白が持続する例は進行性に経過し、約40%が20年で末期腎不全に至る。
急性腎炎症候群型:感冒などの上気道感染後に肉眼的血尿を呈して発見される
慢性腎炎症候群型:健診で顕微鏡的血尿を指摘されて偶然発見される
【予後因子】
高血圧、尿蛋白量、腎機能(GFR)
症状 血尿:急性型は上気道感染1〜2日後に肉眼的血尿(慢性型は顕微鏡的血尿)
②蛋白尿:ネフローゼを起こすことは少ない、増加すると予後不良因子
③高血圧:予後不良因子
検査 【血液検査】約半数で血清IgA↑
【尿検査】尿沈渣で変形赤血球(+)
【腎生検】光顕:メサンギウム増殖、蛍光:メサンギウム領域にIgA・C3沈着
治療 【食事】
高血圧のため塩分制限、糸球体保護のため蛋白質制限
【薬物療法】
抗血小板薬:毛細血管障害防止のため
②ARB or ACE阻害薬:高血圧に対して糸球体保護する
③ステロイドパルス:重症例では行うこともある
【手術】
口蓋扁桃摘出術

紫斑病性腎炎

病態 IgA血管炎の約半数に合併する腎炎。IgA腎症様の腎障害を呈する。
腎生検で分節性病変を認める糸球体の割合が高いほど腎機能予後が悪い。
症状 ①紫斑、腹痛・下血、関節痛の先行症状
②先行症状の数週間後に血尿、蛋白尿で発症
検査 【生検】
IgA腎症様の腎障害
治療 対症療法:関節炎にNSAIDs
重症な場合は多剤併用療法、ステロイドパルス

半月体形成性糸球体腎炎 Crescentic glomerulonephritis

疫学 中高年に好発
病態 ①〜③の原因によって糸球体血管壁が壊死し、フィブリンの析出やマクロファージの増殖によってボーマン腔に半月体が形成される。その結果、数週間〜数ヶ月の経過で急速に腎機能が低下する疾患。予後不良。
ANCA関連腎炎(MPA、GPA)
免疫複合体型腎炎(ループス腎炎、IgA腎症など)
抗糸球体基底膜抗体(Goodpasture症候群)←稀
症状 発熱、血尿、蛋白尿、浮腫、高血圧など(ネフローゼを起こすことは少ない)
検査 【血液検査】
CRP↑赤沈↑、Cre↑BUN↑、ANCA(+)
【腎生検】
光顕:糸球体に半月体形成、蛍光:ANCAは何も染まらない、免疫複合体は顆粒状に染まる
治療 初期にステロイドパルス。免疫抑制薬、抗血栓薬を併用。血漿交換療法。

★微小変化型ネフローゼ症候群 MCNS:Minimal change nephrotic syndrome

疫学 小児に好発
病態 糸球体上皮細胞の足突起の消失を認める疾患。チャージバリアは消失するがサイズバリアは維持されるため、蛋白質の選択性は高く、Albなど小さい蛋白質のみ流出する。
症状 急激な全身性浮腫:低Alb血症(蛋白尿が主体、血尿なし
②高コレステロール血症
検査 【尿検査】高度Alb尿
【腎生検】光顕:正常、電顕:足突起の融合
治療 ステロイド(著効)。抵抗性の場合は免疫抑制薬を追加。
予後 良好。ただし、再発を繰り返す症例も多い(特にステロイド減量中に再発しやすい)。

巣状分節性糸球体硬化症 FSGS:Focal segmental glomerulosclerosis

疫学 比較的若年者に好発
病態 一部の糸球体に巣状分節性の硬化性病変を生じる疾患。チャージバリアとサイズバリア共に消失するため、蛋白質の選択性は低い。
症状 急激な全身性浮腫:蛋白尿が主体、血尿あり
②高血圧
【合併症】
HIVなど
検査 【尿検査】蛋白尿、血尿
【腎生検】光顕:巣状分節性の硬化像、蛍光:硬化部に一致したIgMやC3が沈着(血中IgMや補体は正常)、電顕:足突起の消失
治療 ステロイド抵抗性。免疫抑制薬を追加。
予後 予後不良で、約7割がステロイド無効で、末期腎不全に至る。

★★膜性腎症 MN:Membranous nephropathy

疫学 40歳以上の中高年に好発
病態 基底膜上皮側に免疫複合体が沈着する疾患。
症状 緩徐に全身性浮腫が発症(蛋白尿が主体、血尿なし
【合併症】
悪性腫瘍:胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、リンパ腫
②感染症:B型肝炎梅毒
③膠原病:SLE(ループス腎炎Ⅴ型)、関節リウマチ
④薬剤:金製剤、D-ペニシラミン、ブシラミンなどの抗リウマチ薬
検査 【腎生検】光顕:糸球体基底膜のびまん性肥厚、光顕PAM染色:基底膜のスパイク形成、蛍光:IgGC3が基底膜に沈着、電顕:基底膜上皮下に沈着物
治療 ステロイド

膜性増殖性糸球体腎炎 MPGN:Membranoproliferative glomerulonephritis

疫学 二次性は中高年に好発(一次性は若年者に好発するが近年減少傾向)
病態 基底膜に免疫複合体が沈着し、メサンギウム細胞の増殖と基質の増加した結果、腎不全となる疾患。
【原因】
二次性:C型肝炎クリオグロブリン血症など
症状 緩徐に全身性浮腫が発症(蛋白尿が主体、血尿あり)。
検査 【血液検査】補体C3orCH50↓
【腎生検】光顕:糸球体係蹄壁の分葉化、基底膜の一部が二重化構造、メサンギウム細胞の増殖、蛍光:IgG、IgM、C3が係蹄・メサンギウムにフリンジ状に沈着
治療 ステロイド

続発性腎障害

★★糖尿病性腎症

病態 持続する高血糖(5年以上)により細小血管障害が生じ、糸球体輸入・輸出細動脈の硬化や腎機能低下が起こり、慢性腎不全となる疾患。第3期以降にネフローゼ症候群を呈するようになり、尿試験紙法で陽性となる。第2期まで腎機能改善しうるため、微量Alb尿測定が重要となる!
症状 高度な蛋白尿(血尿なし)、微量アルブミン尿
検査 【血液検査】GFR低下
【尿検査】微量Alb尿(30〜299)測定、早期DM性腎症で尿中Alb/Cre比上昇
【画像検査】初期に両側腎臓が腫大
【腎生検】びまん性のメサンギウム基質の増加における結節性病変(KW結節)が特徴
治療 【食事療法】塩分6g未満、蛋白制限1.0g/kg/day(1〜2期)、0.8g/kg/day(3〜4期)
【薬物療法】①血糖管理:インスリン注射で目標HbA1c7.0%未満(インスリンは腎排泄型のため、腎機能低下では少量でも効く)②降圧治療:ARBやACE阻害薬により目標130/80まで降圧

【病期】

Alb尿 GFR
第1期 正常Alb尿 30以上
第2期 微量Alb尿(30〜299) 30以上
第3期 顕性Alb尿(300以上) or 持続的蛋白尿 30以上
第4期 問わない 30未満
第5期 透析療法中

★ループス腎炎

SLEを参照。

尿細管疾患

【病変部位による分類】

病変部位 疾患名 特徴
近位尿細管 Fanconi症候群 低K血症AG正常アシドーシス
血圧正常
近位/遠位/集合管 尿細管性アシドーシス 低K血症AG正常アシドーシス
血圧正常
ヘンレの
上行脚
Bartter症候群
(=ループ利尿薬)
低K血症+アルカローシス
血圧正常、高Ca尿症、小児発症
遠位尿細管 Gitelman症候群
(=チアジド利尿薬)
低K血症+アルカローシス
血圧正常、低Ca尿症、低Mg血症
集合管 原発性Ald症
Liddle症候群(35歳未満
低K血症+アルカローシス
高血圧

【アルドステロン症の鑑別】

疾患 レニン Ald 血圧 血中K その他
原発性Ald症
続発性Ald症
Batter症候群 正常 高Ca尿症、低Cl血症、
幼少期より発症
偽性Batter症候群 正常 ループ利尿薬使用
Gitelman症候群 正常 低Ca尿症、低Mg血症
成人期より発症
その他 偽性Ald症
Liddle症候群
Cushing症候群
本態性高血圧 様々

Fanconi症候群

病態 近位尿細管での広範囲な機能障害により多彩な症状を呈する症候群。原因は以下参照。
①先天性:シスチン蓄積症、Lowe症候群、Wilson病
②後天性:多発性骨髄腫、アミロイドーシス
③薬剤性:Cd、Hg、Pb、シスプラチン、アミノグリコシド系抗菌薬→間質性腎炎参照!
症状 ①腎性糖尿:ブドウ糖再吸収↓
②汎アミノ酸尿:アミノ酸再吸収↓
③尿細管性蛋白尿:β2MG再吸収↓、尿中β2MG↑、尿中NAG↑
④高リン酸尿症・低P血症→骨軟化症:P再吸収↓
⑤低Ca血症→骨軟化症:Ca再吸収↓とビタミンD活性化障害
⑥低K血症:K再吸収↓
⑦代謝性アシドーシス:HCO3再吸収↓、尿中HCO3↑
⑧血清尿酸値低下:尿酸再吸収↓
検査 【血液検査】
低K血症AG正常高Cl性代謝性アシドーシス、β2MG↑など
※不揮発酸は増えないためAG正常だが、HCO3は排泄されるため高CIとなる。
治療 原疾患の治療

尿細管性アシドーシス RTA:Renal Tubular Acidosis

病態 低K血症+AG正常高Cl性代謝性アシドーシスを呈する疾患で、3つの病型がある。
不揮発酸は増えないためAG正常だが、HCO3は排泄されるため高CIとなる。
【Ⅰ型/遠位型】:位尿細管・集合管におけるH排泄障害
原因→シーグレン症候群、特発性高Ca尿症
Ⅰ型がローマ数字のⅠがに見える
【Ⅱ型/近位型】:近位尿細管におけるHCO3再吸収障害
原因→Fanconi症候群、MMなど(Ⅱ型:Fanco2、Mが2コ
【Ⅳ型】:集合管におけるアルドステロン作用低下
原因→Addison病、DM性腎症など
症状 ①低K血症症状(ⅠorⅡ型):四肢脱力など
②骨軟化症、腎石灰化、尿路結石が特徴(Ⅰ型):骨からのCa遊離
検査 【NH4Cl負荷試験】→Ⅰ型とⅡ型の鑑別
NH4Clは投与すると酸性尿となる。Ⅰ型ではHを遠位尿細管から分泌できないため尿pH5.6以上となるが、Ⅱ型ではHを分泌できるため尿pH5.5以下となる
【心電図】
低K血症所見:T波平坦化、U波増高
【血液検査】
低K血症:HCO3とともにKも排泄されるため
治療 原疾患治療、アシドーシス補正、K補正

Bartter症候群

バターはループする!

疫学 新生児、乳幼児(Battar=Baby)
病態 ヘンレ上行脚のNa-K-2Cl共輸送の機能障害によって、NaとCl再吸収障害を起こす常染色体劣性遺伝疾患。
①Cl再吸収障害により、RAA系が活性化してレニン分泌↑するが、ATⅡに対する反応性が低下しているため血圧は正常。
②Na再吸収障害により、集合管でのNa-K交換系が促進し、K排泄増加により低K血症を発現する。低K血症では代償的にHが尿細管細胞に取り込まれアルカローシスとなる。
【偽性Batter症候群】
ループ利尿薬の乱用、下剤、慢性下痢、嘔吐によりBatter症候群と同様の症状を呈するもの。
症状 ①成長障害:Ca不足?
②低K血症症状:脱力感、筋力低下
③高Ca尿症:腎石灰化
検査 【血液検査】
低K血症(Naは正常)、アルカローシス、続発性Ald症(レニン↑Ald↑)
【尿検査】
高Ca尿症
治療 K保持性利尿薬(スピロノラクトン)+K製剤:低K血症改善→アルカローシス改善
偽性Batter症候群の場合は原因となる利尿薬を中止

Gitelman症候群

疫学 思春期以降に発症(Gentelmanは思春期から
病態 遠位尿細管のNa-Cl共輸送の機能障害によって、NaとCl再吸収障害を起こす常染色体劣性遺伝疾患。Batter症候群と同様の機序で低K血症、アルカローシス、続発性Ald症となるが、低Mg血症と低Ca尿症を起こす点が異なる(機序不明)。
症状 ①テタニー:初発症状。低Mg血症により生じる。
②低K血症症状:脱力感、筋力低下
検査 【血液検査】
低Mg血症、低K血症、アルカローシス、続発性Ald症(レニン↑Ald↑)
【尿検査】
低Ca尿症
治療 K保持性利尿薬(スピロノラクトン)+K製剤:低K血症改善→アルカローシス改善
Mg製剤:テタニー予防

Liddle症候群

疫学 35歳未満で発症
病態 集合管のNa-K転送機構の亢進し、原発性Ald症類似の症状をきたす疾患。
Na-K転送機構の亢進により、血中Na↑して血圧上昇、低K血症が生じる。
ただし、Ald分泌は抑制されるため、RAA系は抑制される。
症状 高血圧:若年性
②低K血症:脱力感、筋力低下
検査 【血液検査】
低K血症、アルカローシス、レニン↓Ald↓
【尿検査】
尿中Na↓、尿中K↑:Na-K転送機構の亢進のため
治療 塩分制限、トリアムテレン(スピロノラクトン無効)

間質性腎炎

病態 尿細管と間質を炎症の場とする疾患の総称。原因は以下の通り。
本症を疑ったら必ず薬物服用歴を聴取すること!
急性:感染症、薬剤アレルギー(NSAIDs、βラクタム系、アミノグリコシド系など)
慢性:薬剤性(NSAIDsPPI、リチウム、シスプラチン、シクロスポリン)、Pb、Cd、慢性腎盂腎炎、膀胱尿管逆流など
症状 【急性】
①全身症状:発熱、発疹、掻痒、関節痛など
②非乏尿性のAKI症状:血尿、腰痛、浮腫など
【慢性】
①多尿:初期には尿濃縮力↓する
②血尿はない
検査 【血液検査】
BUN↑Cre↑、好酸球↑
【尿検査】
好酸球↑IgE↑(薬剤性急性間質性腎炎)、β2MG↑(近位尿細管障害)、NAG↑
【生検】
間質に著明な細胞浸潤が認められる(確定診断)
治療 原因薬剤の中止+基礎疾患の治療、重症の場合はステロイド投与

横紋筋融解症

病態 糸球体を通過したミオグロビンが尿細管を閉塞させ、尿細管壊死を生じる疾患。
①筋肉傷害(激しい運動、外傷、圧迫など)
②薬剤(スタチンが有名)
③電解質異常(低カリウム血症,低リン血症など)
④その他(悪性症候群、脱水・熱中症など)
症状 ①急性腎不全症状:
検査 【血液検査】
CK↑
治療

腎循環障害性疾患

★腎硬化症

透析導入原疾患の第2位

腎血管性高血圧

疫学 高血圧患者の約1%
病態 腎A狭窄などで腎血液量が低下し、RAA系が活性化されて高血圧をきたす。
原因:高齢者では動脈硬化、若・中年女性では大動脈炎症候群、線維筋性異形成が多い
症状 ①高血圧:続発性アルドステロン症
②随伴症状:めまい、頭痛
検査 【身体検査】
聴診:臍周囲に血管性雑音
【血液検査】
レニン↑Ald↑→低K血症
【画像検査】
スクリーニング検査:腎Aドプラエコー、評価が難しい場合は造影CT、MRA
確定診断:選択的腎A造影(or アンギオグラフィ)で腎血管狭窄部と患側腎の縮小化を確認し、左右腎Vレニン活性比(PRA)が患側が健側の1.5倍以上になること。
治療 線維筋性異形成:経皮的腎A形成術(PTRA)
その他はACE阻害薬かARBを少量から投与

【原因疾患の鑑別】

動脈硬化 大動脈炎症候群 線維筋性異形成
好発年齢・性別 中年以降、男性に多い 若年、女性に多い 若・中年、女性に多い
狭窄部位(腎A) 起始部 起始部 遠位2/3に多い
患側 両側が多い 両側が多い 片側が多い
その他 脂質異常症 炎症所見(+) 炎症所見(ー)

腎梗塞

病態 腎動脈に閉塞をきたし、腎組織が楔状に壊死した状態。
原因として、弁膜症・感染性心内膜炎・AFなどの心疾患による塞栓、動脈硬化、結節性多発動脈炎などがある。
症状 ①側腹部痛・腰痛
検査 【身体検査】
打診:CVA叩打痛
【画像検査】
腎動脈造影・腎血流シンチ・腹部造影CT:
治療 抗凝固療法、降圧薬

腎の先天異常

Alport症候群

病態 糸球体基底膜を構成するⅣ型コラーゲンα鎖遺伝子異常により、進行性糸球体腎炎をきたす疾患。約90%がX染色体優性遺伝である。男性は進行が早く、予後が悪い。
症状 ①腎炎:血尿で発症し、進行すると蛋白尿を呈する
感音性難聴:高音域の障害から始まる
③白内障
検査 【腎生検】
電顕:糸球体基底膜の緻密層の層状化
治療 対症療法

★★★多発性嚢胞腎 PKD

疫学 ADPKD:約1人/4000人
病態 多数の嚢胞が両側の腎臓に生じて、囊胞が増大するにつれて正常組織を圧迫し、腎不全に進行する遺伝性疾患。
【①常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)
多くがPKD1遺伝子変異によって発症し、緩徐に進行して60歳で約50%が腎不全になる。
【②常染色体劣性多発性囊胞腎(ARPKD)】
Potter症候群の原因となり、特異的顔貌、羊水過少による肺低形成。新生児期に囊胞の圧迫による呼吸不全で死亡することが多い。
症状 ADPKDでは多くの場合、30~40歳代まで無症状で経過した後に、
①両側腹部痛
血尿
③高血圧
④尿路感染、尿路結石
【ADPKDの合併症】
A(頭)脳動脈瘤
D(大腸):大腸憩室
P(Pancreas):膵嚢胞・肺嚢胞
K(肝臓):肝嚢胞
D(Double弁):僧帽弁逸脱症
検査 【尿検査】
蛋白尿、顕微鏡的血尿
【画像検査】
エコー:腎内に多数の嚢胞
MRI:T2で囊胞などが高信号
MRA:脳動脈破裂を予防するため確認
治療 ①降圧薬
②V2拮抗薬(トルバプタン):cAMPの産生を抑制し、腎嚢胞の増大を抑制する

コメント

タイトルとURLをコピーしました