肺炎球菌、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)

微生物学

肺炎球菌の特徴

カタラーゼ陰性

血液寒天培地ではα溶血を示す(不完全溶血)。 鼻咽腔粘膜に常在。双球+莢膜を有する。

市中肺炎・急性中耳炎・副鼻腔炎、細菌性髄膜炎

疫学 急性中耳炎・市中肺炎の原因菌第1位、新生児以外の髄膜炎の原因菌第1位
市中肺炎の20〜40%を占める
病態 インフルエンザといったウイルス感染などで上気道粘膜の防衛機構が破綻すると肺炎球菌が増殖し、粘液とともに肺胞に侵入すると肺炎、耳に侵入すると中耳炎、副鼻腔に侵入すると副鼻腔炎を起こす。また、髄液に侵入すると髄膜炎を起こす。
30〜40%に混合感染を起こす(インフルエンザウイルス、インフルエンザ桿菌、マイコプラズマなど)
症状 ①鉄さび色の喀痰
②肺炎共通症状:発熱、咳嗽、膿性痰
検査 【身体検査】
聴診:coarse cracklesを聴取
【尿検査】尿中肺炎球菌迅速抗原(感度80%、特異度95%)
【咽頭検査】咽頭拭い液中の抗原
【画像検査】
胸部CT:大葉性肺炎パターン(病初期は気管支肺炎パターン)、半数は両肺に広がる、約20%の症例で反応性胸水あり
※肺炎球菌単独感染による肺膿瘍合併は稀(肺炎球菌性肺炎と診断され、肺膿瘍を認める場合には積極的に嫌気性菌や緑膿菌の合併を疑う)
治療 ペニシリン系、第3世代セフェム系(セフトリアキソン)。
ペニシリン耐性肺炎球菌PRSPにはカルバペネム系やニューキノロン系を投与。
膿胸などの合併症がなければ解熱後3〜5日で治療終了。
予防 0歳、高齢者(65歳、70歳、75歳)の場合

市中肺炎

呼吸器内科を参照。

急性中耳炎・副鼻腔炎

耳鼻咽喉科を参照。

細菌性髄膜炎

脳神経外科を参照。

匐行性角膜潰瘍・細菌性結膜炎

眼科を参照。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌性肺炎と侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を予防する効果がある

肺炎球菌ワクチンの種類

  PPSV23(ニューモバックス®) PCV13(プレベナー13®)
PCV20(プレベナー20®)
PCV15(バクニュバンス®)
タイプ 多糖体ワクチン(B細胞活性化) 結合型ワクチン(B+T細胞活性化)
種類 肺炎球菌の莢膜多糖体 肺炎球菌表面の抗原蛋白
回数 5年毎に1回(免疫記憶なし) 1回のみ(免疫記憶あり)
助成 65歳時にPPSV23を1回のみ助成 助成なし

接種方法

65歳以上で免疫不全がなければ、PCV20の1回接種が簡便性やコスト面で推奨される

PCV20 1回のみ接種 1番おすすめの接種方法
②PPSV23を5年毎に接種 65歳定期接種→5年以上空けて連続任意接種
③PPSV23→PCV20接種 65歳定期接種→1年以上空けてPCV20任意接種
④PCV15→PPSV23接種 PCV15任意接種→1〜4年以内にPPSV23任意接種(その後②同様)

コメント

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