EBウイルス(EBV:Epstein-Barr virus)

微生物学

概要

アフリカの小児に多発するバーキットリンパ腫から分離されたウイルスで、このウイルスが感染したBリンパ球は不死化し無限増殖し始める。上皮細胞、T細胞、NK細胞にも感染はする。

伝染性単核球症(キス病)

EBのBはB細胞のB!B細胞が暴れるよ〜

伝染性単核球症様の症状は、サイトメガロV、HHV-6、アデノVなどでも起こりうる。

病態 日本では唾液を介して乳幼児期に80%の人が初感染し、不顕性感染に終わる(2〜3歳で約70%、20歳代までに90%以上が感染)。しかし、思春期以降に初感染した場合は半数以上が発症する。咽頭粘膜に感染して局所リンパ節に移動し、そこでB細胞に侵入する。感染したB細胞は不死化して異常増殖する。異常Bリンパ球を排除しようと、核が円形でない幼弱な細胞傷害性Tリンパ球(異常リンパ球) が末梢血に増加する。
症状 初感染後の4〜6週間の潜伏期間の後、3主徴が2~3週間持続する。
発熱:弛張熱
咽頭扁桃痛:咽頭・扁桃炎、扁桃腫大、扁桃白苔による偽膜形成
③全身のリンパ節腫脹:特に後頸部リンパ節腫大(必発)※溶連菌は前頸部!
④その他:肝脾腫(約50%出現、溶連菌感染症との違い)、発疹、眼瞼浮腫など
【合併症】
・血球貪食症候群
・神経疾患:ギランバレー、顔面神経麻痺、脳炎、無菌性髄膜炎、横断性脊髄炎など
・上気道閉塞
・脾破裂
検査 【身体検査】
肝叩打痛(+)
【血液検査】
WBC↑(リンパ球↑異型リンパ球↑)、AST↑ALT↑、寒冷凝集素の上昇
伝染性単核球症の初感染では、急性期にEVBCA-IgM(=抗VCA-IgM)が増加し、EBNA抗体が陰性となる(確定診断)
回復期に抗VCA-IgGが増加し、生涯持続する(再活性化では異常高値となる)。
初感染の数ヵ月後からEBNA抗体が陽性となり、生涯持続する。
※鑑別のため、CMV-IgM、CMV-IgGも同時提出する。
【末梢血塗抹標本】
異形リンパ球切れ込みのある核)(溶連菌感染症との違い)
【Paul-Bunnell試験】
ヒツジ赤血球に対する凝集価を測定する試験で陽性
【画像検査】
腹部エコー:肝脾腫を評価
治療 対症療法。4週間はコンタクトスポーツは避ける(脾破裂予防)。
扁桃炎の起因菌No1のA群連鎖球菌と症状が似るがペニシリンは禁忌(皮疹を生じさせるため)

慢性活動性EBV感染症

病態 EBVがT細胞やNK細胞に感染して種々の臓器に浸潤。10年で約半数が死亡。
症状 伝染性単核球症に似た症状が数か月続く。
検査 【血液検査】
再活性化したEBVにより抗VCA-IgGが異常高値
治療  

EBV関連血球貪食症候群

血液内科を参照。

T細胞に感染→サイトカイン分泌→マクロファージ活性化→血球貪食

EBV関連腫瘍

日本人の胃がんの約10%がEBVによる。バーキットリンパ腫、上咽頭癌に関連。

コメント

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