サイトメガロウイルス(CMV:Cytomegalovirus)

微生物学

サイトメガロウイルスの特徴

多くの人は乳幼児期に唾液、母乳、尿などを介して初感染し、不顕性感染となる。様々な臓器に潜伏感染し、成人の約90%がCMV抗体陽性となる。

病理では感染細胞に巨大化した封入体を形成する(フクロウの目) 。

先天性サイトメガロウイルス感染症(巨細胞性封入体症)

病態 妊婦が初感染すると経胎盤感染によって胎児の約10%に巨細胞性封入体症が発症する。
症状 ①約90%では両側性の感音難聴精神運動発達遅滞を認める
②残り約10%では小頭症、肝脾腫、網脈絡膜炎、胎児発育不全を認める
検査 【頭部CT】脳室周囲石灰化
【血液検査】血清IgM抗体価↑
治療  

後天性サイトメガロウイルス感染症(日和見感染)

概要 成人になって初感染するとEBVの伝染性単核球症と似た症状を起こす場合もあるが、多くはEBVによるものより軽症である。
免疫力低下によって回帰感染した場合は網膜炎・肺炎・腸炎など様々な症状を起こす。
症状 <回帰感染の場合>
①続発性間質性肺炎:発熱、咳嗽+痰なし、fine crackles
②胃腸炎:下痢、血便
③網脈絡膜炎
検査 【血液検査】
初感染の場合:CMV特異的IgM抗体陽性
回帰感染の場合:CMV抗原(アンチゲネミア)陽性+CMV-IgG抗体陽性
PCR法:CMV-DNA検出
WBC正常、CRP↑
【喀痰検査、生検】
核内封入体を含む巨細胞(フクロウの目)を確認
治療 通常、経過観察。
免疫低下時はガンシクロビル静注、バルガンシクロビル内服、フォスカルネット静注など

コメント

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