ヒトパルボウイルスB19(Human parvovirusB19)

微生物学

伝染性紅斑(りんご病)

5類感染症。皮疹が出現したときには感染力がないため登校制限もない。

疫学 0〜12歳に好発
病態 ヒトパルボウイルスB19が飛沫感染によって侵入し、P抗原保有細胞(赤芽球、巨核球、血管内皮、胎児筋細胞、栄養膜)に感染する。特に、分裂の盛んな赤芽球に感染するため、遺伝性球状赤血球症など先天性溶血性貧血の患者に感染すると、造血障害を起こして無形成発作(重篤な溶血発作)を生じ、赤芽球癆を発症する。
症状 【小児】
①先行する感冒症状(発熱など):紅斑はまだなく、この時に感染力を持つ。
②7〜10日の潜伏期間の後、両頬部に紅斑:1〜2日後に四肢に拡大し、融合して地図状となった後、中央から褪色してレース状となる(四肢のレース状紅斑)が、この時は感染力はない。
【成人】
4〜10日の潜伏期間の後、ウイルス血症となり約5日間持続する。紅斑を認めないことが多く、2~3週間続く多発性関節炎を起こす。
【妊婦】
妊婦に感染した場合は胎盤経由で胎児に感染し、赤芽球癆から高度な胎児貧血をきたし、その結果、胎児心不全から胎児水腫となり流産となる(TORCH症候群の1つ)。ただし、胎児に感染しても先天奇形の発生率上昇はしないと考えられている。
【合併症】
①急性糸球体腎炎
②溶血性貧血(赤芽球癆
検査 血液検査:特異的IgM抗体陽性
PCR法:血液
治療 対症療法、ワクチンはない

コメント

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