水疱症・膿皮症

皮膚科

水疱症の概要

表皮内水疱(弛緩性) 破れやすい 天疱瘡、伝染性膿痂疹など
表皮下水疱(緊満性) 破れにくい 類天疱瘡、虫刺され、ポルフィリン症など

先天性水疱症

表皮水疱症

乳幼児期から軽微な外力で水疱・びらん形成する疾患。Nikolsky現象(+)

  単純型 接合部型 優性栄養障害型 劣性栄養障害型
遺伝形式 常・優 常・劣 常・優 常・劣
部位 表皮内 表皮ー真皮接合部 表皮下(真皮) 表皮下(真皮)
原因 ケラチン5・14 ラミニン332など 7型コラーゲン 7型コラーゲン
所見 手足を中心に水疱形成 全身の水疱、歯牙・爪の発育不良 手足を中心に水疱・瘢痕形成 全身の水疱・瘢痕形成、指趾癒着、歯牙・爪の発育不良
予後 良好 Herlitz型は不良 比較的良好 不良

Hailey-Hailey病

後天性水疱症(天疱瘡群)

尋常性天疱瘡、落葉性天疱瘡

尋常(上)性→基底層直上、落葉→下に落ちる→角層(下)

  尋常性天疱瘡 落葉状天疱瘡
疫学 中・老年 中・老年
病態 デスモグレイン1&3に対する自己抗体が産生され、全身の皮膚・粘膜に表皮内水疱を形成する疾患。表皮の下方の基底層直上に弛緩性水疱が生じ、その中に棘融解細胞が存在。 デスモグレイン1に対する自己抗体が産生され、全身の皮膚に表皮内水疱を形成する疾患。表皮の上方の角層下に弛緩性水疱が生じ、その中に棘融解細胞が存在。
症状 口腔内有痛性びらん:Dsg3が多く存在し、初発症状として多い。痒み(ー) ②その後、全身に紅斑+弛緩性水疱を生じる ③水疱が破れてびらんを生じる ①頭部・胸背部などの脂漏部位を中心に紅斑+浅在性小水疱を生じる。粘膜疹なし! ②水疱が破れて表皮びらん→薄皮が剝げるように落屑する(=落葉状)、痒み(ー)
検査 【身体検査】 触診:Nikolsky現象(+) 【Tzanck試験】 棘融解細胞(+) 【蛍光抗体直接法】 表皮細胞間にIgG・C3沈着 左に同じ
治療 ステロイド内服が第一選択。 難治性はステロイドパルス、免疫抑制剤、血漿交換など 左に同じ

後天性水疱症(類天疱瘡群)

  水疱性類天疱瘡 後天性表皮水疱症 疱疹状皮膚炎
疫学 高齢者、自己免疫水疱症で最多 中高年 日本ではまれ
病態 基底膜のヘミデスモゾームの17型コラーゲン(BP180)に対する自己抗体が産生され、表皮水疱を形成する疾患。 内臓悪性腫瘍を合併することがある。また、DPP-4阻害薬の副作用で生じることもある。 基底膜下の7型コラーゲンに対する自己抗体が産生され、表皮水疱を形成する疾患。外傷などを契機として四肢末端部に水疱が好発する。遺伝的素因はない。 グルテン過敏腸症を伴う。グルテンなどの抗原と抗体による結合組織に対する自己免疫と考えられている。
症状 掻痒を伴う紅斑の上に、緊満性水疱が多発(破れにくいが、一部破れてびらんとなる) ②20〜30%に粘膜疹(+) ①四肢伸側など外力がかかる部分に緊満性水疱が出現 ①肘・膝関節伸側などに強い掻痒を伴う浮腫状紅斑+辺縁に小水疱
検査 【蛍光抗体直接法】 表皮基底膜部にIgGやC3の線状沈着 【蛍光抗体間接法】 1M食塩水に48時間浸し、表皮側にIgG沈着が認められ、対応抗原はBP130。 【蛍光抗体直接法】 表皮基底膜部にIgGやC3の線状沈着 【蛍光抗体間接法】 1M食塩水に48時間浸し、真皮側にIgG沈着が認められ、対応抗原が7型コラーゲン。 【蛍光抗体直接法】 真皮乳頭部へのIgAやC3の顆粒状沈着し、対応抗原はトランスグルタミナーゼ。
治療 ステロイド内服 ステロイド内服 DDS投与+ グルテン除去食

無菌性膿疱症

好中球が浸潤するためができる!

掌蹠膿疱症 palmoplantar pustulosis

疫学 中年女性に好発
病態 手足に好中球が浸潤し無菌性の膿疱を形成する難治性疾患。寛解と増悪を繰り返し、慢性に経過する。欧米では膿疱性乾癬の限局型ととらえられることが多い。感染症ではないので他人にうつらない。
【原因】
①原因不明
病巣感染(慢性扁桃炎、胆嚢炎、齲歯など)歯科金属アレルギー喫煙が関与
③SAPHO症候群:HLA-B27が関与
症状 手掌(特に母指球・小指球)、足底(特に土踏まず)に好発し、小水疱→膿疱→痂皮となり、周囲に紅斑を伴う。
②掻痒を伴うこともある
爪の点状陥凹・肥厚が高頻度で見られる
【合併症】
掌蹠膿疱症性骨関節炎(約10〜30%):胸鎖関節炎(胸肋鎖骨間骨化症)が多い
検査 【血液検査】
病巣感染がある場合:WBC↑CRP↑赤沈↑、ASO↑
【アレルギー検査】
金属パッチテスト
【皮膚生検】
表皮内単房性膿疱
治療 ①原因があれば除去:扁桃摘出、抗菌薬内服、歯科治療、禁煙
②ステロイド外用+活性化VD3外用、ビオチン内服
③外用で改善しない場合:PUVA療法などの光線療法
④関節炎に対してNSAIDs

壊疽性膿皮症

疫学 30〜40代の女性に好発
病態 好中球が浸潤し無菌性の潰瘍ができる疾患。原因は不明。症状を繰り返して慢性化する。 約75%にUC・クローン病、MDS、多発性骨髄腫、大動脈炎症候群、白血病、関節リウマチなどが合併している(エゾのウシはクローン、まだ食えんけ吐かんと!)。
症状 ①主に下腿紅斑上に小水疱・膿疱を形成→急速に自壊して境界明瞭で辺縁が堤防状に隆起した潰瘍ができる。 ②その後、潰瘍は中心から肉芽形成し数ヶ月後に瘢痕を形成して治癒する。 疼痛+、発熱+
検査 【皮膚生検】 真皮全層に好中球浸潤
治療 合併症治療 +ステロイド外用&内服+DDS内服。 治療抵抗性の場合はシクロスポリン内服。

その他の膿疱症

角層下膿疱症

好酸球性膿疱性毛包炎

急性汎発性膿疱性細菌疹

小児肢端膿疱症

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