注射の種類
効果発現速度 | 持続時間 | 穿刺部位 | |
皮内注射 | 遅い | 長い | 前腕屈側 |
皮下注射 | ↓ | ↑ | 上腕伸側、三角筋上部 |
筋肉内注射 | ↓ | ↑ | 三角筋、大腿四頭筋、中殿筋 |
静脈内注射 | 早い | 遅い | 橈側皮静脈、尺側皮静脈等の表層を走る静脈 |
【採血針の選択】
ゲージ(G) | 針の太さ(外径)→ゲージ数によって色分け |
インチ | 針の長さ |
刃先角度 | 鋭角のregular bevel(RB)→皮下注、筋注 鈍角のshort bevel(SB)→静注、動脈穿刺 |
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筋肉注射
禁忌:出血傾向の患者(血友病、血小板減少症など)
注意:小児の場合は同一部位に頻回に筋注すると筋拘縮する可能性がある
注射部位 | 三角筋 | 大腿四頭筋 |
①穿刺部位 | 肩峰先端から3横指下の三角筋中央 | 大転子と膝蓋骨外側縁を結んだ線の中心 |
②消毒 | ー | ー |
③穿刺前 | 皮膚ごと筋肉をつかむ | ー |
④穿刺 | 45〜90度で針の2/3刺入し逆血を確認後に注入 | 90度で針の2/3刺入し逆血を確認後に注入 |
動脈ライン確保
準備するもの
①腕の固定用テープ | |
②1%リドカイン | 通常、キシロカイン®を使用 |
③消毒液 | 主にクロルヘキシジンを使用 |
④清潔道具 | 清潔手袋、ガウン、穴あきドレープ、キャップ、保護メガネ |
⑤エコー+カバー | |
⑥動脈留置針 | |
⑦動脈圧ライン | |
⑧固定用物品 | |
⑨採血シリンジ | A採血が必要な場合 |
穿刺前
①橈骨A触知 | 触知良好な部位を穿刺部位として決定 ※触知不良の場合、可能であれば手技前に下肢挙上、輸液負荷、カテコラミン投与により血圧を上昇させる。難しい場合はエコーガイド下で穿刺部位を確認 |
②Allenテスト | 穿刺側の手を強く握らせ橈骨Aと尺骨Aを圧迫→手を開かせたら圧迫解除し、5秒以内に血色が戻れば合格 |
③手の固定 | 丸めたガーゼを使って手関節を軽度背屈位にする→上腕や指先をベッドの柵などの固定物にテープで固定 |
穿刺
①清潔野確保 | 穿刺部位を消毒し、キャップをかぶり、保護メガネをかけ、清潔手袋を装着 |
エコーガイド下の場合、ガウンをきた後に清潔手袋を装着し、穴あきドレープをかける。エコープローブにゼリーをつけた後、カバーをかける。 | |
②局所麻酔 | 25G直針で動脈の直上から数mm離れた位置で皮下注する(数分後に効果) |
③A穿刺 | 左第2・3指先で動脈拍動を触知しながら穿刺針を45度の角度で穿刺し、逆血を確認したらコリコリとゆっくり外筒を進め、内筒を抜去する。 |
ガイドワイヤー付きデバイスの場合、内筒に逆血が来たらガイドワイヤーを奥まで挿入されるのを確認し、内筒を抜去する。外筒を入れたらガイドワイヤーを抜去する。 | |
(④A採血) | 採血が必要な場合はここでシリンジ採血 |
⑤ライン接続 | 動脈ラインに接続し、透明なドレッシング剤を用いて固定 |
⑥空気除去 | 動脈圧トランスデューサーにある三方活栓を調節しシリンジを引き、動脈圧ライン内の空気を抜く。その後、液体の部分は戻す。 |
⑦高さ調節 | 動脈圧トランスデューサーを心臓の高さに合わせる。仰臥位の場合、胸骨から5cm下方か中腋窩線が目安となる。 |
⑧ゼロ調節 | モニターとコードを繋ぎ、トランスデューサーにある三方活栓の患者側を閉塞し、大気側を開放し(三方活栓のキャップを取る)、モニターのゼロ調整ボタンを押す。調整後にキャップを戻した後、三方活栓の患者側を開放し大気側を閉塞して完了 |
トラブルシューティング
穿刺失敗 | 動脈が痙攣して拍動が触知しにくい場合は穿刺部位をずらすなど変更 |
穿刺部位血腫 | 5分間の圧迫止血(抗凝固薬や抗血小板薬内服の場合は10分以上) |
採血+ルート確保
準備するもの
①駆血帯 | |
②消毒綿 | エタノール、クロルヘキシジン |
③留置針 | 通常22G(青)、造影予定なら20G(ピンク) |
④輸液バッグ | 生食、ラクテックなど |
⑤輸液セット | テルフュージョン®輸液セット(青) |
⑥エクステンションチューブ | トップインジェクターチューブ®など |
⑦三方活栓 | シュアプラグ付き三方活栓、シュアプラグAD |
⑧フィルム | テガダーム®、シルキーテックス®など |
⑨各種スピッツ | 通常、紫(血算)・灰色(生化学)・黒(凝固)・血ガス |
輸液の組み立て方
① | 輸液バックのゴム栓を消毒し、フックにかける |
② | 輸液セットのクレンメを閉め、輸液バックのゴム栓に刺し、点滴筒を押して液を貯める |
③ | 三方活栓を末端に接続し、クレンメを開いてルート内を液体で満たす |
④ | エクステンションチューブを三方活栓につなぎ、再度ルート内を液体で満たす |
⑤ | フィルムに今日の日付を記載(72時間=4日目〜96時間=5日目でルート交換するため) |
⑥ | 完成したセットを全て銀のトレーに入れ、点滴棒も持っていく |
採血部位の選択
採血を避ける場所 | 炎症や感染のある部位 |
透析シャントの腕:シャント閉塞、血流感染のリスクとなる | |
輸液使用時の中枢側:輸液混入 | |
乳房切除を受けた側の腕:うっ血が起こりやすい | |
麻痺側の肢:神経損傷のリスク、皮下に漏れた際に発見が遅れる | |
下肢:静脈炎のリスク高い、歩行しにくい、血栓つくりやすい |
【前腕の場合】
第1/2選択 | 肘正中皮静脈、橈側皮静脈 ※正中皮静脈のやや深層には正中Nがある場合があるため注意 |
第3選択 | 尺側皮静脈 ※やや深層に上腕Aや正中Nがある場合があるため注意 |
ルート採血時 | オレンジ色の部分を第一選択で採血しない。もし行う場合は、 ①痛み、痺れがないか確認し、痛みがある場合は直ちに抜去すること ②何度も穿刺しない、深く穿刺しない ③トラブルがあった場合はカルテに記載する |
【手背の場合】
橈骨神経浅枝は橈側皮静脈での末梢静脈路確保を実施する際に損傷しやすく、茎状突起から12cm中枢までの部位での穿刺は神経損傷リスクが高く、行うべきではないという法的根拠(判例)がある。
採血方法
①駆血 | 穿刺部を心臓より低い位置にして駆血帯を巻く(仰臥位ならヘッドUP) |
②血管怒張 | 母指を握り込み+穿刺部を軽くタッピング |
③消毒 | 末梢に血液を集めるため穿刺部の近位→遠位に向かって拭く |
④固定 | 穿刺部の背後からHoldし、皮膚にテンションをかける |
⑤穿刺 | 親指と中指で針を持ち穿刺する |
⑥逆血 | 固定している手は離さず、逆血を確認したら針の角度を平行にして針を進める |
⑦内筒抜去 | 人差し指で外筒をゆっくり進めたら内筒抜去 |
⑧(採血) | シリンジで10〜20mL採血し、駆血帯をはずす |
⑨滴下確認 | 穿刺部根元を押さえながら点滴ルートにさし替え滴下を確認する |
⑩穿刺部固定 | 被覆剤で刺入部を見えるよう固定し、ループを作る |
採血検体の入れる順番(シリンジ採血)
第9凝固因子(Ca)を不活性化するため、抗凝固薬(抗凝固作用:EDTA>クエン酸Na)を採血管に入れて採血する。※EDTAはクエン酸と比べて強力にCaをキレートする
分注する順番は「ぎょう(凝固)さん(血算)とれる(糖)→その他」で覚える。
採血管の色 | 検査内容 |
①黒:凝固能検査 | クエン酸(液体)入り。分注量が少ないとクエン酸の比率が高くなり、凝固時間が延長するため最初に採血し、分量ぴったりに分注する。 クエン酸はCaをマイルドにブロックし、かつ、組織液の影響が少ない |
②紫:血算 | EDTA(粉末)入り |
③灰:血糖値 | 解糖阻止剤のフッ化Na+EDTA入り |
④茶:生化学検査 | 寒天状の血清分離薬入り |
⑤血ガス分析 | pHを変化させないヘパリン入り |
分注後はスピッツを転倒混和させる |
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検体の保存方法
検体 | 例 | |
冷蔵保存 | 常在菌が存在する検体 | 尿、便、喀痰、胸水 |
常温保存 | 通常無菌な検体 | 血液、髄液 |
冷凍保存可 | PT、アルブミン |
点滴速度
成人用:20滴/mL
簡易計算式:{輸液総量(mL)/投与時間(hr)}÷3=?滴/分
上記で算出した量を下記のどれに当てはまるかを見るだけ
1滴/秒 | 1.5滴/秒 | 2滴/秒 | 3滴/秒 |
60滴/分 | 90滴/分 | 120滴/分 | 180滴/分 |
180mL/hr | 270mL/hr | 360mL/hr | 540mL/hr |
ボーラス投与:だいたい500〜1300mL/hrくらいになる
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