★サルコイドーシス(原因不明の全身性疾患)
疫学 | 20〜30歳代(男女)・50〜60歳代(女性)に好発(二峰性) |
病態 | Ⅳ型アレルギー反応(抗原不明)によってTリンパ球とマクロファージの活性化が起こり、肺、眼、心臓、皮膚など他臓器にに非乾酪性肉芽腫を起こし、臓器障害を生じる疾患。細胞性免疫↓(ツ反陰転化)・相対的液性免疫↑(Ig↑)。予後は良好。 半数弱は自覚症状ないが、初期症状は眼症状が最多。 |
呼吸器 | 症状:多くは無症状、咳・息切れを認めることもある X線:両側肺門リンパ節腫脹(BHL)、間質性肺炎 気管支鏡:粘膜下の網目状血管怒張(微小血管病変) 経気管支肺生検(TBLB):非乾酪性類上皮細胞肉芽腫 気管支肺胞洗浄液(BALF):CD4↑(CD4/CD8比↑) |
眼 | 症状:両眼に肉芽腫性ぶどう膜炎症状(眼痛、霧視など) 細隙灯顕微鏡:肉芽腫によって豚脂様角膜後沈着物、雪玉状の硝子体混濁、虹彩結節など 蛍光造影眼底:網膜静脈周囲炎により毛細血管に沿った蛍光色素の漏出 前房隅角検査:虹彩結節や隅角結節により周辺虹彩前癒着して続発性緑内障を合併する |
皮膚 | 症状:顔面に好発する結節性紅斑など 皮膚生検:非乾酪性肉芽腫の所見 |
心 | ①高度房室ブロック:伝導障害のため→ペースメーカー挿入が必要 ②致死的心室性不整脈:非持続性心室頻拍、頻発する心室期外収縮に要注意! ③心不全:左室駆出率低下による FDG-PET・67Gaシンチグラフィ:慢性炎症部分にFDG/Gaが集積 心エコー:心室中隔基部の菲薄化 |
神経 | 顔面神経麻痺など |
その他 | 高Ca血症(活性化MQが活性化VDを産生するため)、耳下腺腫大など |
検査 | 【血液検査】 ACE↑、Ca↑、リゾチーム↑、sIL-2R↑、γグロブリン↑、 ツベルクリン反応陰転化(約70%:結節でCD4T細胞↓のため) 【画像検査】 核医学:病変分布を見るためGaシンチグラフィで異常集積像を確認 |
治療 | BHLのみの場合は経過観察、臓器障害がある場合はステロイド内服 【眼】虹彩毛様体炎のみ:ステロイド点眼+アトロピン点眼、全体へ波及している場合(汎ぶどう膜炎):テノン嚢下にステロイド注射を追加 |
ACEが上昇する疾患は、エース 花瓶にさけべ!(過敏性肺炎、サルコイドーシス、珪肺、ベリリウム肺)
★アミロイドーシス
病態 | 全身臓器あるいは特定の臓器にアミロイド蛋白が沈着し、機能障害を引き起こす症候群。アミロイドーシスは多岐にわたるアミロイドの前駆蛋白によってアミロイドーシスの病型を決定する。 |
全身 | 起立性低血圧、巨舌など |
脳 | 脳アミロイドアンギオパチーは脳表の小・中動脈にアミロイド蛋白が異常沈着し、血管壁の脆弱化をきたす疾患。アルツハイマー型認知症に高率に合併する。 【症状】 脳出血(特に皮質下出血):高血圧を伴わないことも多い |
心 | 心アミロイドーシスは二次性心筋症の一つであり、沈着するアミロイドの構造によって病型分類される。 【病型】 ①ALアミロイドーシス:免疫グロブリン軽鎖が沈着してALとなる ②ATTRvアミロイドーシス:変異型TTRが沈着してATTRとなる ③ATTRwtアミロイドーシス(老人性全身性アミロイドーシス):野生型TTRが沈着してATTRとなる 【症状】 拘束型心筋症様症状:伝導障害 【検査】 ①心エコー:左室壁・中隔の肥厚、拡張能低下、心筋の輝度上昇(granular sparkling) ②心電図:低電位、心伝導障害、不整脈 ③生検:アミロイド沈着(確定診断) 治療:心不全や不整脈に対する対症療法 |
腎 | 低選択性蛋白尿をきたし、進行性で予後不良である。 【病型】 ①ALアミロイドーシス:多発性骨髄腫→免疫グロブリン軽鎖が沈着してALとなる ②AAアミロイドーシス:RA、結核、UCなど→血清アミロイドA蛋白が沈着してAA 【症状】 ネフローゼ症状(浮腫、蛋白尿、血尿はまれ) 【生検】 糸球体係蹄壁、メサンギウム、血管にアミロイド沈着を認める(光顕:Congo red染色で橙赤色、偏顕:緑色蛍光を呈する) |
透析 | 透析アミロイドーシス:透析ではアミロイドを除去できないため、β2MGが骨や関節に沈着し、手根管症候群などの関節の障害を起こす。 ※腹膜透析は腹膜からβ2MGが除去されるので透析アミロイドーシスになりにくい |
治療 | 基礎疾患の治療 |
悪液質
病態 | 基礎疾患(主に癌)に関連して、脂肪量減少の有無に関わらず筋肉の損失を特徴とする複合的な代謝異常症候群で、次第に不可逆的な栄養不良に陥る。 悪液質の代謝異常は、①糖質代謝の亢進により肝での糖新生が亢進し、インスリン抵抗性が増強すること、②脂質代謝亢進により末梢の脂肪組織から脂肪酸が動員されること、③筋タンパク質の異化亢進と同化抑制により筋肉量が減少することと考えられている。 <悪液質の3段階> ①前悪液質:体重減少が5%以内にとどまり、代謝異常や食欲不振を合併する病態 ②悪液質 ③不可逆的悪液質:悪液質が進行した状態 |
症状 | <以下5項目の症状のうち、3項目に該当する場合に悪液質と診断> ①疲労・倦怠感 ②食欲不振:12ヵ月以内に5%以上の体重減少あり ③筋肉量低下 ④筋力低下 ⑤血液検査異常:炎症マーカー上昇、貧血、低アルブミン血症など |
治療 | 前悪液質:栄養のモニタリングと管理を積極的に行い、栄養不良の進展を抑える 不可逆的悪液質:栄養療法が無効、むしろ栄養投与量を抑える必要がある |
減圧症
病態 | ダイビング中、水中での高圧状態から急速に減圧すると、血液中の溶存ガス(主として窒素)が気泡化し小血管内で塞栓となる。急激な減圧直後2時間以内(90%)に発生する。 |
症状 | <急性期症状> Ⅰ型(軽症) ①四肢の大関節と筋肉(よく使いよく動かした部分)の鈍いが激しい痛み ②皮膚の紅斑・瘙痒感:放置しても自然治癒する ③息ぎれ・胸が詰まった感じ Ⅱ型(重症) ①脳卒中様症状 ②運動麻痺・知覚障害 ③メニエール症状 <慢性期症状> ①減圧性骨壊死(特に大腿骨頭壊死症):気泡による骨の微小血管の血行障害を起こすため |
検査 | |
治療 | 高圧酸素療法(自発気胸の既往がある場合は相対禁忌) |
コメント