大腸菌の特徴
大腸菌は線毛と鞭毛があり運動性がある。菌体を構成するO抗原(耐熱性の菌体抗原)と鞭毛を構成するH抗原の組み合わせによって血清型が決定する(例えばO157:H7など)。また、病原性遺伝子を獲得した大腸菌を下痢原性大腸菌(DEC)と呼び、以下5種類がある。
腸管毒素原性大腸菌(ETEC) | 旅行後の下痢症として最多。コレラ様の水様性下痢。 |
腸管侵入性大腸菌(EIEC) | 赤痢類似の粘血便。赤痢菌とDNAが90%相同。 |
腸管出血性大腸菌(EHEC) | ベロ毒素を産生。毒素が血中に入ると溶血性尿毒素症症候群! |
腸管病原性大腸菌(EPEC) | 小児下痢症の原因菌の1つ |
腸管凝集性大腸菌(EAEC) | 発展途上国で遷延する下痢症 |
毒素原性大腸菌 ETEC
疫学 | 輸入腸管感染症の原因菌として最も多い |
病態 | 発展途上国を旅行し、汚染物を摂取して、小腸上皮に吸着した後に毒素を産生する(コレラ毒素と類似)。 |
症状 | 1〜3日の潜伏後、 ①コレラ様の激しい下痢 ②悪心嘔吐 発熱(-)、腹痛(-)、血便(-) |
検査 | 【便検査】酵素抗体法(ELISA)、ラテックス凝集法などで毒素検出 |
治療 | 輸液、必要に応じてニューキノロン投与 |
腸管出血性大腸菌 EHEC(便も尿も赤!)
第3類感染症(赤いパチOコ)
EHECはウシの大腸に生息し、焼き肉の生焼けなどにより経口感染する。
溶血性尿毒症症候群 HUS
血液内科を参照。
腸管外感染症
大腸菌は正常細菌叢の一員であり本来は無害であるが、腸管以外に異所性感染すると病原性を発揮する。大腸菌が外尿道口から逆行して膀胱炎・腎盂腎炎・前立腺炎を起こす。また、ファーター乳頭から胆道に侵入して増殖すると胆道感染症を起こす。さらに、免疫力の弱い新生児には髄膜炎、高齢者には誤嚥性肺炎を引き起こす。
急性膀胱炎・急性腎盂腎炎・急性前立腺炎
泌尿器各論の感染症を参照。
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