呼吸困難

症候学

呼吸困難(息切れ)

呼吸困難 呼吸に何らかの異常が生じ、それによって苦痛を伴う状態(自覚症状)
呼吸不全 PaO2 60Torr以下の状態(他覚所見)

原因の分類

呼吸困難の原因は大きく呼吸器疾患、循環器疾患、貧血の3つに分けられる。

呼吸器疾患 PaO2の低下を伴うことが多く、この場合はAaDO2を計算して鑑別を進める。
上気道:急性喉頭蓋炎、咽頭浮腫
下気道・気管支:気道異物、閉塞性疾患増悪(喘息など)
肺・胸膜:肺炎、COPD、気胸、無気肺、胸水、胸膜炎、肺癌、間質性肺炎
循環器疾患 循環還流量が増加すると生じる呼吸困難は夜間発作性呼吸困難起坐呼吸として現れることが多い。
肺水腫:不整脈、急性冠症候群など
肺血栓塞栓症:DVT
貧血 Hbの低下など血液検査

重症度分類

Hugh-Johes分類
(労作によって症状が強まる)
1度:同年齢の健常者並みに生活できる
2度:同年齢の健常者並みに歩けるが、坂・階段の上り下りは辛い
3度:同年齢の健常者並みには歩けないが、自分のペースなら1マイル(約1.5km)以上は歩ける
4度:休み休みでないと50ヤード(約50m)以上歩けない
5度:会話や着替えにも息切れするし、息切れのため外出ができない
mMRCスケール Grade0:息切れを感じない
Grade1:強い労作で息切れを感じる
Grade2:平地を急ぎ足で移動すると息切れを感じる
Grade3っさと歩けない
Grade4ばらくすると休む
Grade5:Hugh-Johes分類5度と同じ

鼻翼呼吸

呼吸困難が強い時は吸気時に鼻翼を広げてできるだけ多く換気しようとする運動。

咽頭痛のある呼吸困難(killer sore throat)

急性喉頭蓋炎 咽頭痛,嚥下困難,声の変化,流涎で疑う.
扁桃周囲膿瘍 片側性の強い咽頭痛,開口障害,嚥下困難,流涎で疑う
咽後膿瘍 頸部痛,嚥下痛,頸部の腫脹,異常な頭位で疑う.
口腔底蜂窩織炎(Ludwig’s angina) 口腔・頸部痛,頸部腫脹,舌の突出で疑う.
頸静脈化膿性血栓症(Lemierre症候群) 開口障害,片側性頸部腫脹で疑う.扁桃周囲膿瘍に続発し,敗血症,DICに注意する.

急性呼吸困難

問診 身体所見 検査
急性喉頭蓋炎 唾液が飲み込めない 声がこもる、咽頭初見がない喉の痛み、吸気時のStridor
急性心不全
気管支喘息発作 喘鳴
肺炎 発熱
胸水貯留
パニック発作
狭心症・心筋梗塞 胸痛
肺塞栓症(PE) 胸痛
気胸 胸痛
アナフィラキシー
気道狭窄
心タンポナーデ
EILO

※EILO(運動誘発性咽頭閉塞症):運動のピーク時に突然喉が詰まり、息ができなくなる。女性、特にアスリートに多い。

慢性呼吸不全

問診 身体所見 検査
慢性心不全 起座呼吸
COPD
肺結核
肺化膿症
胸水
肺癌
間質性肺炎
貧血
廃用
GERD
鼻づまり
ニューモシスチス肺炎
肺高血圧症
神経筋疾患
気道狭窄

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