外傷初期診療

救急医学

病院到着前

救急隊より聴取すべきMIST

第1報 緊急性 ロード&ゴーの対象か否か
Mechanism 受傷機転 生体に加わった外力の部位とエネルギーの大きさ
Injury 損傷部位 目にみえる損傷だけでなく、受傷機転から損傷臓器を推測する
Sign 症候 損傷臓器から生体反応(症状)が出現しているか推測する
Treatment 応急処置

患者受け入れ前の準備

標準予防策 患者がどのような背景・状態か不明のためエプロン・手袋・ゴーグルなど
機器準備 モニター、エコー、ポータブルX線(胸部・骨盤)
酸素 リザーバー付きマスクで10〜15 L
ルート 加温した生食(初期輸液は1Lまで:希釈性凝固障害になるため)
採血 血液型、交差を追加する可能性伝える
スタッフ招集 人数が多い方が対応しやすい
頚椎カラー 頚椎固定の適応がある場合使用

Primary survey

ABCDEアプローチ

救急初期対応を参照

頚椎固定の適応

頸部痛がある場合
鎖骨より上に外傷がある場合
③頸部痛が訴えられない場合 意識障害他の部位で激痛がある、中毒患者、精神疾患患者

バックボード除去

痛いので2時間以内に取る

FAST

外傷によるショックの90%以上は出血性ショック。その出血源MAPを探せ!

M:大量血胸(胸部X線)、A:腹腔内出血(FAST)、P:骨盤内出血(骨盤X線)

FAST 大量血胸、心タンポ、腹腔内出血の評価目的(Cの異常があれば必ず実施)
評価 コンベックスプローブでFASTを確認
※ハンドル殴打で肝・膵損傷や心タンポナーデの可能性
①心窩部
プローブを剣状突起下に当て、長軸を出して心膜腔全体を観察:心嚢液から心タンポナーデ(+IVCぱんぱん)の有無を確認

②右季肋部(モリソン窩)+胸腔
プローブを中腋窩線上に平行に当て、高エコーの横隔膜の上下→肝腎間のモリソン窩→肝尾側先端部の順にスライドさせる:液貯留から胸腹腔内出血の有無を確認

③左季肋部(脾周囲)+胸腔
プローブを後腋窩線上に当て見上げるようにし、高エコーの横隔膜の上下→脾周囲の順にスライドさせる:液貯留から胸腹腔内出血の有無を確認

④恥骨上部
プローブを恥骨上部2cmに当て膀胱を長軸と短軸で観察し、膀胱下(ダグラス窩)の液貯留を観察:腹腔内出血

左右胸腔(呼吸に異常がある場合)
リニアプローブに変え、マーカーを患者頭側に向ける。プローブを中腋窩線上に当て、胸膜のスライディングの有無を観察:Bモードでスライディングなければ気胸

X線

胸部X線 ABCDのいずれかに異常を認めたら撮像
評価 多発肋骨骨折(フレイルチェスト)があるか?
多発肋骨骨折により正常な胸壁運動が障害される状態。不安定部分が吸気時に陥凹、呼気時に突出する奇異性運動が見られる。血気胸があれば胸腔ドレナージ、呼吸不全があれば挿管陽圧換気(PEEP)による内固定。
大量血胸があるか?
骨盤X線 Cに異常を認める鈍的外傷、高リスク受傷機転、意識障害、気管挿管後は撮像
評価 骨盤輪が保たれているか?(骨盤骨折の有無)
骨盤骨折ならまずシーツラッピング

Aライン確保

循環動態が不安定、もしくは頻回にAガスが必要な患者では確保する

尿道留置カテーテル

Cの異常 Cの異常として尿量をモニター(15〜30分毎に測定)
血尿 泌尿器系損傷による後腹膜出血の可能性
※尿道損傷の可能性がある場合は尿道造影を行ってから挿入する
※挿入前に直腸診で高位浮動を確認

胃管留置

目的 急性胃拡張の解除
詳細 陽圧換気や気管挿管後の急性胃拡張がBやCの異常に関与する可能性があるため挿入
禁忌 高度の顔面骨折や頭蓋底骨折では鼻孔から挿入すると胃管が篩骨板を貫き頭蓋内に進むため、特別な理由がない限り経口的に挿入する

外傷 Pan-scan CT

外傷Pan-scan CT(Trauma Pan-scan)とは、多発外傷患者に対して、頭部から骨盤まで全身を一連の撮影で迅速に検査する救急CT撮影法。頭蓋内出血、実質臓器損傷、血管損傷などの致命的な損傷を早期に発見する目的で行われる。

頭部外傷・顔面外傷

頭部外傷・顔面外傷を参照、骨折があれば顔面骨骨折を参照

頸部外傷

頸部外傷を参照

脊椎・脊髄外傷

脊椎・脊髄外傷を参照

四肢外傷

四肢外傷を参照

胸部外傷

胸部外傷を参照

腹部外傷

腹部外傷を参照

Tertiary survey

入院経過観察中に繰り返し隠れた損傷を探す診察のこと

特に注意すべき点
①症状を訴えない状況 意識障害、アルコール摂取後、挿管後、鎮痛・鎮静薬投与下、認知機能低下、小児、身体障害者、外国人などは症状を訴えない場合があるため、損傷を見落とす可能性がある。
②仰臥位では症候が出現しにくい状況 脊椎の圧迫骨折、変形のない大腿骨近位部骨折は荷重がかからない仰臥位では症状が乏しい場合があるため、注意する
③早期に症候が出現しにくい損傷 虚血や炎症を引き起こす損傷では、受傷早期には症状が乏しい場合があるため、注意する
④隣接臓器損傷が存在する場合 先に発見した損傷に注意が集中するあまり、近接組織や臓器の損傷を見落とす場合があるため、神経・血管・靭帯損傷など注意する

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